ブレイクアウトはFXのテクニカル分析をするうえでたくさんの人が意識する動きだと思います
水平線やトレンドライン、移動平均線などのラインに沿って動いていたローソク足が、ラインを突き抜けてラインの反対側にいく値動きです
ブレイクアウトが起こるとその方向にトレンドが発生していくことが多いので、上にブレイクアウトしたからロング、下に抜けたからショートというのはトレード手法として悪いものではありません
ですが、ひと手間加えるとさらに勝率、値幅をアップすることができます
そのひと手間が今回紹介する”ブレイクワンタッチ”です(リテストともいいます)
水平線を引いて、ブレイクしてからエントリーしてるのに即含み損…
上手くいくこともあるけど、ダマシにあったり含み損が大きくなる可能性があるね
ブレイクアウト=新しい値動き=保守派に拒否される
ブレイクワンタッチ(リテスト)の話に入る前にまずブレイクアウトについて書いておきます
ブレイクアウト戦略というのは、相場がサポートラインやレジスタンスラインを突破した時にトレードする手法です
株やFXのマーケットに参加するトレーダーは、わかりやすい値動きを好み、リスクを取りたがらない傾向があります
しかし、相場がこれまでとは違う新しい動き(ブレイクアウト)を始めると、そこには新たなリスクが生まれます。
マーケットメーカーと呼ばれる大手金融機関は、このブレイクアウトに警戒心を強めます。
今まで予想もしなかった価格変動への対応を迫られ、保守的な姿勢をとらざるを得ません。
ブレイクアウトの影響は数時間から数日、数週間に及び、長期的なトレンド変化を引き起こす可能性があります。なのでマーケットメーカーは特に注意を払うのです。
しかし残念ながら、この戦略は失敗する可能性が高いのが現実です。相場が一時的にラインを突破しても、すぐにまた元のレンジに戻ってしまうことが多いからです。
先ほども書いたようにブレイクアウトをマーケットメーカーは強く警戒しています
これを抑え込むために、マーケットメーカーはブレイクアウトが起こりそうになったときにはその反対方向の売買をガッツリ行ったりもしていると考えられます
相場は基本的に安定していると考えているトレーダーにとって、ブレイクアウト戦略が成功するチャンスは低いです。例えば、通常のトレンドトレードで40%の勝率を目指している人は、ブレイクアウト戦略では30%以下の勝率しか期待できません。時間軸によっては10-20%程度しか勝てない可能性もあります。
したがって、ブレイクアウト戦略では成功確率を低めに見積もることが大切です。そうすることで、損失を小さく抑えるためのストップロス注文や利確の指値注文を適切に設定できます。
FXはブレイクアウト狙いでは勝てない?
FXでよくあるねらい目としてブレイクアウトの値動きを狙うというのがあります
ブレイクアウトというのは少し固い言い方をするとレンジや平均回帰と新たなトレンドが発生する間における移行期間の状態です
もう少し具体的に言うと三角保合いなどの状態から、一方向に大きくレートが飛び出す動きのことをいいます
三角保合いなどの上値抵抗線などのライン近くでは、ラインを抜けると考えてトレードする人と抜けないと考える人の売り買いが交差しています
なので、ラインを抜けない派の人たちはラインを抜けてレートが動き出すと損切りを準備している人が多いため、その損切りを巻き込んで、ラインを抜けた直後に、価格が突発的に動くことがあります
そのため三角保合いなどの値動きが小さい状態はエネルギーがたまった状態といわれ、このレンジ相場が長いほど多くの売買=エネルギーがライン付近に溜まることになります
なんで三角保合いでエネルギーがたまるんだ?
そのレンジの上限と下限でそれぞれエントリーする人がいて、損切りや利確をするレベルまでの値動きがないからポジションが増えていくんだよ
このエネルギーがブレイクアウトによってその方向に動き出す=大きな値動きが期待できるので、その方向にエントリーするというやり方がブレイクアウト手法です
三角保合いだけでなく、水平線や移動平均線をブレイクしたときなどもブレイクアウトといいます
このようになんだか理屈も通っていて大きな利益を出せそうなブレイクアウト手法ですが、うまくやらないと勝つことができません
ブレイクアウトのメリット・デメリットを見ていきましょう
ブレイクアウトのタイプ
ブレイクアウトには大きく分けて2種類あります
- サポートラインのブレイクアウト: サポートラインは、価格が下落し、一時的に停止するか反転すると考えられる価格レベルです。サポートラインの下に価格がブレイクアウトすると、下降トレンドが強調され、売りポジションを開くトレーダーが増える可能性があります。
- レジスタンスラインのブレイクアウト: レジスタンスラインは、価格が上昇し、一時的に停止するか反転すると考えられる価格レベルです。レジスタンスラインの上に価格が突破すると、上昇トレンドが強調され、買いポジションを開くトレーダーが増える可能性があります。
ブレイクアウト手法のメリット
ブレイクアウトを狙う手法には2つのメリットがあります
- エントリーの判断がしやすい
- 大きな利益を狙える
1つずつもう少し詳しく見ていきましょう
なんか簡単そうだし、利益も大きいって最高!
エントリーの判断がしやすい
ブレイクアウトはエントリー場所が初心者でもわかりやすいのでエントリーのタイミングがつかみやすくいろんなところでおすすめされています
インジケーターの細かい数値まで見る必要がなくラインを超えるか超えないかを確認するだけなので、難しい知識が必要なく、誰にでも実践できる手法と言えます
1回のトレードで大きな利益を狙える
ブレイクアウト狙いの手法では、ブレイクアウト前に溜めたエネルギーを一気に開放するのでその後、トレンドが発生しやすく、短期間で大きな利益を得られる可能性があります
ブレイクアウトはトレンドの初動を狙うので上手くいけば、1回のトレードで大きな利益を出すことができます
エントリー回数を絞って勝率重視でトレードするのに向いた手法と言えます
ブレイクアウト手法のデメリット
ブレイクアウトには残念ながらデメリットも存在します
ブレイクアウト狙いの手法で勝てない人はこれの影響を大きく受けているということになります
- ダマシが多い
- 取引量が増えがち
- ブレイクアウトが伸びないこともある
- エントリーチャンスが少ない
こちらも1つずつ見ていきましょう
ダマシが多い
ブレイクアウトを狙う最大のデメリットはダマシが多いことです
ダマシとはレンジからブレイクアウトしたと思ってもすぐにレンジの中にまたレートが戻ってきてしまうことをいいます
上にブレイクアウトしたと思ったのに長ーい上ヒゲを残して結局レンジの中に戻ってきたよ
ダマシ発生後、すぐに損切りできれば良いですが、適切なタイミングで損切りできないと大きな損失につながる場合があります
また、ブレイクアウトまでの間のレンジ相場で早めにエントリーして含み損を抱えてしまっても、レンジ相場だからまたもとのレートに戻るだろうと考えて損切りを先延ばししてしまうことも負けを大きくする原因になります
すべての手法でいえることですが、エントリーと利確タイミングだけでなく、損切りタイミングも事前に計画してエントリーすべきでしょう
取引量が増えがち
ブレイクアウト手法では当然ブレイクアウト待ちの状態があります
値動きの小さいこの段階で焦れてしまって、ロットを増やしてしまい大きな損失を出してしまうことがあります
ブレイクアウトが伸びないこともある
先程メリットとして挙げたようにエントリーポイントはわかりやすいのですが、ブレイクアウト後は利確の目印がありません
また、ブレイクアウト後トレンドが伸びないこともあります
これらのことを理解してポジションを引っ張りすぎてしまって結局利確し損ねてしまうということがないよう注意が必要です
エントリーチャンスが少ない
ブレイクアウトはトレンド相場やレンジ相場に沿って取引きする手法よりもチャンスが少ない手法です
相場は基本的に レンジ→ブレイクアウト→トレンド→レンジという流れで形成されます
ブレイクアウトはレンジからトレンドに切り替わる瞬間しか起こりえない値動きなので、1日に何回もチャンスが訪れる手法ではありません
エントリーできないだけなら負けるわけではないのでいいのですが、なかなかエントリーできないからと言ってトレードルールを破ってエントリーするようになると勝てないので、結果ブレイクアウト狙いの手法=勝てないという風になっていきます
ひと晩中チャートを見続けたけど結局ノートレ…
ポジション持ちたさに負けて変にトレードして損しなかっただけヨシとしよう!
ブレイクアウトで勝てない理由
ブレイクワンタッチの話に入る前に、ブレイクアウトの値動きの裏で起きていることも考慮してブレイクアウトで勝てない理由をもう少し探っていきましょう
ブレイクアウトでは新しい値動きが発生している
トレーダーはふつう、自分のトレードルールを守るなど一貫性を重視し、リスクを少しでも小さくするように行動するはずです
ただし、新しい値動きが発生するときは必ず相場は変化しているため、新たな一連のリスクがどうしてもついてきます
そして、機関投資家などのマーケットメーカーは新たなブレイクアウトが発生した場合、以前は懸念されていなかった価格構成に対処する必要があるので、保守的な対応をとることが多いです
しばし様子見というか無難に切り抜けたいとかそういう態度ですね
さらに、経済指標発表などによってブレイクアウトは引き起こされることが多く、その後数時間、数日、あるいは数週間にもおよぶトレンドを引き起こす可能性があるため、ブレイクアウトの初動を失敗すると大ダメージを受けてしまうのでマーケットメーカーがブレイクアウトを警戒するのは当然のことです
このように機関投資家でも警戒するブレイクアウトに安易に手を出すのは危険なように思えてきます
ブレイクアウトを感情的に追いかけてしまう
チャートを見てブレイクアウトに気づいたら、トレーダー誰もがエントリーしたくなるはずです
チャンスを逃すことへの不安を常にトレーダーは感じていて、これまでのトレードの経験から、ブレイクアウトから大きなトレンドが発生し、自分はエントリーできていないという状況を何度も経験しているので、今回こそはそれを避けようと思うのです
(ブレイクアウトっぽい値動きの後、トレンドが発生していない場合も多数存在するのですが)
このようにブレイクアウトはトレーダーの感情を左右する値動きであるため、自分のトレードルールの条件が満たされているか確認したうえでトレードすることができなくなってしまう場合があります
長すぎるレンジに翻弄される
一度ブレイクしたと思ってエントリーした後もレンジの中に戻ってしまうという場合が、ブレイクアウト手法ではあり得ます
レンジの中に戻ってもまだ損切りするほどの値幅ではなくてそのままポジションをもってしまうと、レンジは長く続くことが多いので、いつまでもなかなか稼げないという気持ちで冷静さがなくなっていきます
ブレイクワンタッチの値動き
そんなわけでブレイクアウトというポピュラーな手法ですらデメリットも多数存在し、勝てない場合も多々あるようです
そこでブレイクアウトを少し応用したブレイクワンタッチを使ってより高い勝率を目指しましょう。というのがこの記事のテーマです
どう動いたらブレイクワンタッチなの
ブレイクしたあとワンタッチするためにレートが戻ってくる動きだよ
ここでは水平線を上にブレイクしたときを例に挙げて解説していきます
レンジ相場で頭を水平線に抑えられて推移してきたチャートが、ついに水平線を上に突き抜けてブレイクアウトしました
ここですぐに、やっとロングでエントリーできる!と思って飛びついてはいけません
ブレイクアウト後にチャートはもう一度水平線にワンタッチしに戻ってくるからです
ワンタッチしてもう一度上に行く動きを確認してからロングエントリーするのが値幅的にも勝率的にも手堅いトレードになります
なんでブレイクワンタッチを狙うのか
ブレイクした瞬間エントリーじゃだめなの
ワンタッチを待つことにメリットがあるんだよ
ブレイクワンタッチを狙うメリットは2つあります
ブレイクワンタッチを狙うことで勝率があがり、また、勝ったときの利幅が増えるのです
もう少し詳しく解説します
ブレイクワンタッチで勝率アップ
水平線をブレイクした直後にエントリーするのと、ワンタッチを待ってエントリーするのでなぜ勝率が変わるのでしょうか
ブレイクアウト直後にエントリーするとダマシにあうことがあるからです
下の図のように水平線を上に一度抜けた後にまた水平線の下に戻ってしまうパターンです
水平線を引いてみるとわかりますが、上ヒゲだけ水平線から飛び出た状態になることがあると思います
ブレイクアウト即エントリーを狙っているとこういう値動きに騙されてロングして含み損を抱えてしまうことになります
ワンタッチして再度上に行く値動きを確認してからロングすることによって、このダマシを回避することができ勝率アップにつながるということです
ブレイクワンタッチで利幅アップ
続いてブレイクワンタッチで得られる利益の幅が増える理由の解説です
ブレイクアウト直後を狙う場合、すぐにエントリーできれば値幅はワンタッチ後と変わらない、もしくは、よりよいレートで入ることができます
ですが、常にチャートを見ていることができなかったり、瞬間的な値動きでエントリータイミングを逃してしまうことがあります
このときに慌てて飛び乗ると理想のレートより少し高いレートでエントリーしなければならなくなります
利確のレートが同じとき、利幅の差はエントリーしたレートの差になります
ワンタッチ後を狙う場合、ある程度心の準備をして待ち構えることができるのでより有利なレートでエントリーできる可能性が高くなります
ブレイクワンタッチで”待つ勇気”がもてる
すぐに飛びつかないで自分のエントリーポイントを待つことの重要性はいろんな本にかいてあるので、初心者でも頭ではわかっていることだと思います
だけど、そのまま値動きがギューンと突き抜けて稼ぐチャンスを逃したらどうしようと思ってしまうのが、トレーダーの心理です
この心理を抑えて飛びつきエントリーを思いとどまらせてくれるのがブレイクワンタッチです
シンプルでどこまで戻すのかがはっきりと分かるのでここまで待とうと思わせてくれます
そして、簡単にチャートに落とし込めるので何度も検証を重ねることができます
この検証を重ねるうちにブレイクワンタッチの信頼性が高いことが自分の感覚でもわかってきます
そうなれば、もう飛びつきエントリーで無駄に含み損を抱えることはなくなると思います
まとめ
ブレイクアウト直後を狙うのではなく、ブレイクしたラインに戻ってくるワンタッチの動きを待つ手法とそのメリットを解説しました
この値動きのパターンを意識してトレードすることで勝率も勝ったときの値幅もアップできると思います
そしてもう1つ大事なのが、このブレイクワンタッチを使うときの考え方にもあると思います
ブレイクワンタッチを待っているとワンタッチせずにそのまま急角度で上昇、下降してしまってエントリーできないこともあります
ですが、エントリーできない分は良しとして確実な方法を淡々と実行していく。エントリーできそうなタイミングすべてでトレードをしたがらないというのがトレードで勝つために必要な心構えなのかもしれません
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