チャート分析をするうえでマルチタイムフレーム分析(MTF)は必須です。
マルチタイムフレーム分析ではトレードする時間軸のチャートだけでなく、上位足、下位足の値動きも考慮して分析を行います。
自分が見ている時間足のみを見た値動き予想と上位足の値動きのトレンドが逆行していると、予想は当たりにくくなるのでMTFは重要です。
この記事ではマルチタイムフレームの重要性、スマホでも簡単にできるマルチタイムフレーム分析の方法を解説していきます
- マルチタイムフレーム分析(MTF)とは
- マルチタイムフレーム分析(MTF)での長期足・中期足・短期足の役割
- マルチタイムフレーム分析のメリットと効果
- 有名投資家もマルチタイムフレーム分析を推奨している
- 初心者におすすめの時間足の組み合わせ例
- 1つの時間足だけで取引すると失敗しやすい理由
- マルチタイムフレーム分析の基本
- マルチタイムフレームの考え方は他の手法にも通じている
- TradingViewでのマルチタイムフレーム分析のやり方
- MT5でのマルチタイムフレーム分析のやり方
- マルチタイムフレーム分析の手法3選
- マルチタイムフレーム分析を初心者が習得するためにやるべきこと
- MACDとストキャスティクスのお手軽マルチタイムフレーム分析
- MACDの日足→週足変換で上位足をチェック
- マルチタイムフレーム分析のよくある質問
- マルチタイムフレーム分析のまとめ
マルチタイムフレーム分析(MTF)とは
マルチタイムフレーム分析とは、複数の時間足を見て相場を分析する手法のことです。
1つの時間足だけで分析すると視野が狭くなってしまいがちですが、複数の時間足を分析することで広い視野を持つことができます。
MTFでは基本的に上位足から下位足に向かって分析していきます。
上位足の流れと下位足のタイミングを複合的に考えることでより精度の高い分析が可能になります。
マルチタイムフレーム分析(MTF)での長期足・中期足・短期足の役割
マルチタイムフレーム分析は、主に長期足・中期足・短期足という3つの時間足を軸に行います。
長期足は日足という風に目安が決まっているわけではなく、トレードスタイルによって長期足・中期足・短期足は変わってきます。
3つの時間足それぞれの役割を理解して、マルチタイムフレーム分析を活用できるようになりましょう。
長期足の役割
長期足は、メインの時間足(中期足)よりも長い目線で分析するのが目的です。
長期足を見ることでメインの時間足だけを見ていては気づけない、より長い時間軸のトレンドを見つけやすくなります。
株やFXの相場では、長い時間足のトレンドの方が下位足のトレンドよりも影響が強いです。
なのでまず長期足のトレンドを把握しておくことで、メインの時間足でエントリーする方向を間違えにくくなります。
中期足の役割
中期足は、トレードスタイルのメインの時間足です。
例えば、デイトレードなら1時間足、スキャルピングなら1分足、スイングトレードなら日足などです。
長期足で決めた方向性を念頭に置きながら、エントリーや決済のタイミングは基本的にこの中期足で判断することになります。
短期足の役割
短期足は、主に詳細な売買ポイントを探るのに活用します。
中期足を見て売買タイミングが来ていると判断した後、より細かい判断を短期足で行います。
短期足のチャートに表示されたローソク足パターンなどからベストな売買タイミングを分析します。
長期足と短期足ではチャートの見方が異なるので注意しましょう。
長期足:トレンドラインなど大きな流れの把握
短期足:チャートパターンなど直近の値動きの把握
マルチタイムフレーム分析のメリットと効果
マルチタイムフレーム分析は、複数の時間足を活用することで、より高い精度で相場を読み解くことができる手法です。
ここでは、初心者にもわかりやすく「この分析を取り入れることで得られる具体的なメリットや効果」を解説していきます。
トレードの勝率を高めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
相場の「全体像」を把握できる
マルチタイムフレーム分析の大きな強みの一つが、「今の相場がどこに向かっているのか」という全体像を把握できる点です。
たとえば、短期足だけを見ていると一時的な上下に振り回されがちですが、上位足(週足や日足)を見ることで、現在の価格が「上昇トレンドの中の押し目」なのか「下降トレンドの戻り」なのかといった背景を読み取ることができます。
このように、相場の構造を俯瞰的に捉えることで、トレードの方向性に一貫性を持たせることが可能になります。
だましやノイズを回避しやすくなる
短期足だけを見ていると、一見トレンド転換のように見える動きが、実は上位足では単なる押し目や戻りにすぎなかった…ということはよくあります。
こうした“だまし”に引っかかってしまうと、逆方向へのエントリーや無駄な損切りを繰り返す原因になります。
マルチタイムフレーム分析を取り入れることで、上位足のトレンドと方向性をあらかじめ把握し、短期的な値動きが本物かどうかを見極めやすくなります。
その結果、無駄なエントリーを減らし、より優位性の高いタイミングに絞ってトレードすることが可能になります。
根拠のあるトレード判断ができる
マルチタイムフレーム分析を活用することで、複数の視点から相場を確認できるため、エントリーやエグジットの判断により多くの根拠を持たせることができます。
たとえば、日足で上昇トレンドを確認したうえで、1時間足でサポートラインへの到達、15分足で反発のローソク足パターンを確認できたとすれば、それぞれが一致した強い買いの根拠となります。
このように、時間足ごとに役割を分けて相場を見ることで、偶然ではなく必然に基づいた判断ができるようになり、トレードの精度と再現性を高めることができます。
トレードスタイルに柔軟に対応できる
マルチタイムフレーム分析は、スキャルピング・デイトレード・スイングトレードといったあらゆるトレードスタイルに応用できるのも大きな魅力です。
たとえば、スイングトレードでは週足や日足を使って大きな流れをつかみ、4時間足でタイミングを計るといった使い方ができます。
一方、スキャルピングでは15分足や5分足を見ながらも、1時間足で大局を確認することでノイズを減らすことが可能です。
このように、自分の時間軸に合わせて適切な時間足の組み合わせを選ぶことで、より安定したトレードができるようになります。
有名投資家もマルチタイムフレーム分析を推奨している
投資やトレードの勉強をするための本として、必ずと行っていいほど紹介される本 投資苑でもマルチタイムフレーム分析は紹介されています
この本で紹介されている手法は自分が日足を見ている想定で、上位足である週足でトレンド把握し、日足で上位足のトレンドに反する動きを見つける。そして下位足でまたトレンドに戻っていこうとする動きを見つけるというものです
多くの投資家に支持される本でも紹介されている手法をやらない手はないですよね!
初心者におすすめの時間足の組み合わせ例
マルチタイムフレーム分析では、複数の時間足を使って相場を多角的に分析しますが、初心者にとって「どの時間足を組み合わせればいいのか」は悩みどころです。
このセクションでは、トレードスタイル(スイング・デイトレ・スキャル)ごとにおすすめの時間足構成をわかりやすく解説します。
自分に合った時間軸の組み合わせを知ることで、無駄な混乱を減らし、より安定したトレードができるようになります。
スイングトレード向けの時間足組み合わせ
スイングトレードでは、数日から1週間ほどポジションを保有することが多いため、相場の大きな流れを重視する時間足の組み合わせが適しています。
おすすめの構成は以下のとおりです。
役割 | 時間足 |
---|---|
上位足 | 週足 |
中位足 | 日足 |
下位足 | 4時間足 |
週足で中長期のトレンドを把握し、日足で押し目や戻りの位置を確認、4時間足でローソク足のパターンやインジケーターの反応を見ながらエントリーのタイミングを判断します。
デイトレード向けの時間足組み合わせ
デイトレードは、1日のうちに売買を完結させる短期トレードです。
そのため、中期的な相場の方向と当日の細かい値動きをバランスよく見る時間足構成が有効です。
役割 | 時間足 |
---|---|
上位足 | 日足 |
中位足 | 1時間足 |
下位足 | 15分足 |
まず日足でトレンドの方向や重要なサポート・レジスタンスを確認し、1時間足で当日の流れやチャートパターンを観察します。
そのうえで15分足を見てエントリーやイグジットのタイミングを絞り込むと、リスクを抑えながら効率的なトレードが可能になります。
短期的な動きに振り回されず、全体の流れに乗る意識を持つことが重要です。
スキャルピング向けの時間足組み合わせ
スキャルピングは、数秒〜数分単位で売買を完結させる超短期トレード手法です。
一見、1分足やティックチャートだけを見れば十分なようにも思えますが、上位足の確認を怠ると「逆張りで即損切り」となることも少なくありません。
役割 | 時間足 |
---|---|
上位足 | 1時間足 |
中位足 | 5分足 |
下位足 | 1分足 |
まず1時間足で「買い優勢 or 売り優勢」の大まかな方向をつかみます。
その後、5分足で押し目・戻りのタイミングを見定め、1分足で具体的なローソク足の動きやインジケーターを参考にしてエントリーを行います。
時間足を分けて使うことで、ノイズに惑わされず、より安全性の高いスキャルピングが可能になります。
時間足の選び方のポイント
マルチタイムフレーム分析では複数の時間足を見る必要があるため、初心者にとっては「どの足を優先すべきか」「何を基準に判断すべきか」で迷いやすくなります。
そこで、混乱を防ぐために意識すべきポイントを以下にまとめました。
- まずは「上位足の方向性」を最優先する
上位足のトレンドと逆方向に仕掛けると失敗のリスクが高まります。初心者はとくに、上位足の流れに逆らわないことを意識しましょう。 - 時間足は3つに絞るのが基本
環境認識・戦略立案・タイミング判断の3つの役割に沿って、上位・中位・下位の3つに時間足を固定するのがベストです。 - 感覚ではなく「役割」で時間足を使い分ける
「なんとなく全部見ている」状態は逆に情報過多で混乱します。各時間足に明確な目的を持たせることで、判断に一貫性が生まれます。
慣れるまでは「1つのスタイル+時間足3つ」に絞って練習するのがおすすめです。
少しずつ時間足の特徴と使い方に慣れていくことで、分析力と判断力が飛躍的に向上していきます。
1つの時間足だけで取引すると失敗しやすい理由
なぜ1つの時間足だけで分析するとエントリーが失敗しやすいのかというと、現在の動きが短期的なものか長期的なものかが判断できないからです
為替相場では長期的には上昇していても、短期的に下降することがあるように、常に短期・中期・長期トレンドが同じ動きをしているとは限りません。
そのため1つの時間足だけなら同じようなトレンド相場に見えても、実は大きな時間足に反しているトレンドということが多々あり、このようなトレンドに乗っかろうと考えてエントリーしてしまうと、反対方向の大きいトレンドがすぐに始まってしまい大きな損失を被ってしまう可能性があります
マルチタイムフレーム分析の基本
マルチタイムフレーム(MTF)分析の基本ルールは3つあります
- 長期足から分析
- 長期足のトレンドを最重視
- 短期足でベストなエントリータイミングをはかる
これら3つのルールにそって分析をすればマルチタイムフレーム分析をしていることになります
1個ずつ解説していきます
マルチタムフレーム分析のルール① 長期足から分析
1つ目のルール 長期足から分析することは簡単です
チャートを見るときの設定を普段1時間足でやっているなら4時間足とかを見ておけばそれでクリアです
メインが1時間足でなくて日足でも5分足でも同じように1段階長い時間足のチャートで分析します
なぜ長期足から分析するのでしょうか
その理由は上位足の大きな流れにそれより短い時間足は逆らうことはできないからです
自分が見ている時間足では下降トレンドが上昇トレンドに転換したと思っても、長期足でチャートを見ると長い下降トレンドの一部のもどりかもしれません
チャートはフラクタル(入れ子)構造 上位足=下位足の集まり
当然すぎることですが、ローソク足は短い時間足を集めると、長い時間足のローソク足が書けます
5分足12本分の期間のチャートの高値、安値、期間の始値、終値を使えば1時間足のローソク足を書くことができます
だから、上位足のチャートを書くために使っている数字は下位足のチャートを書くのに使っている数字の一部ということです
FXチャートのインジケーターの多くは指定した期間のローソク足の高値、安値、始値、終値から算出される数値をもとに作られています
マルチタムフレーム分析のルール② 長期足のトレンドを最重視
”長期足から分析”のところと少しかぶってしまいますが、大事なことなので2回いいます
長期足のトレンドは短期足より重要です
長期足で上昇トレンドが発生していたとして、それより短期足のトレーダーは長期足の上昇トレンドの押し目に向かっていく下落をショートでとったりすることもあります
でも、それを長期足の上昇トレンド中にやっていると自覚していないと痛い目にあいます
いつまでもショートで利益を引っ張れると思ってしまうとせっかくできた含み益もすぐに失うかもしれません
相場の大きな流れ(トレンド)をつかむために長期足から分析していくことが重要です
マルチタムフレーム分析のルール③短期足でベストなエントリータイミングをはかる
長期足で大きな流れを把握したら、次はメインの時間足でエントリー方向を決めます
その次に見るのが短期足です
メインの時間足をより細かく分解したのが短期足なので、よりいいレートでエントリー/決済するには短期足を分析することで分析の精度があがります
1本のローソク足でわかる情報は陰線か陽線か、実体の長さ、ひげの長さくらいですが短期足を見ればそれらのローソク足が描かれるまでの経緯がより詳しくわかります
この細かい値動きの流れから自分の次の売買のタイミング/レートはいつが最適なのかをはかることができます
マルチタイムフレームの考え方は他の手法にも通じている
移動平均線というポピュラーなチャート分析インジケーターがありますが、このインジケーターで目印になるシグナルでパーフェクトオーダーというものがあります
このシグナルは短期足、中期足、長期足でトレンドがそろっていることを示すもので、マルチタイムフレーム分析で確認しようとしている他の時間軸の値動きを指標としている点で考え方が同じと言えます
TradingViewでのマルチタイムフレーム分析のやり方
マルチタイムフレーム分析を実践するうえで、チャートツールの操作性は非常に重要です。
中でもTradingView(トレーディングビュー)は、視覚的にも使いやすく、複数時間足の同時表示やインジケーターのカスタマイズが直感的にできるため、初心者にもおすすめの分析ツールです。
このセクションでは、TradingViewを使って効率的にマルチタイムフレーム分析を行う方法をわかりやすく解説します。
マルチタイムフレーム分析に必要な機能とは?
マルチタイムフレーム分析を行うには、単に時間足を切り替えるだけでなく、複数の時間足を同時に比較しやすい環境が必要です。
以下のような機能が備わっているチャートツールを選ぶことで、分析効率が格段にアップします。
- 複数チャートの同時表示機能
異なる時間足(例:日足・1時間足・15分足など)を横並びまたは縦並びで同時に表示し、リアルタイムに動きを比較できる機能。 - インジケーターごとの時間足設定
移動平均線などのインジケーターを、特定の時間足だけに表示・非表示を切り替えられると分析しやすくなります。 - 同期機能(通貨ペア・シンボル・クロスヘア)
すべてのチャートで同じ通貨ペアを表示したり、カーソル位置を同期させたりできる機能があると、細かい分析にも対応できます。
これらの機能を標準搭載しているTradingViewは、マルチタイムフレーム分析との相性が非常に良いツールです。
チャートを複数表示して時間足を切り替える方法
TradingViewでは、同一画面上に複数のチャートを表示する「マルチチャート機能」を使うことで、複数の時間足を同時に比較しながら分析できます。
以下の手順で設定が可能です。
1.画面右上の「レイアウトアイコン」をクリック
チャート画面右上にあるレイアウトアイコンから、表示したい分割数(2分割・3分割・4分割など)を選びます。
(分割画面を利用するには有料プランに加入する必要があります。)
それぞれのチャートで時間足を設定
各チャートごとに個別に時間足を選択できます。たとえば、1つ目を日足、2つ目を1時間足、3つ目を15分足に設定すると、マルチタイムフレーム分析が可能になります。
「シンボルを同期」機能をオンにする(任意)
チャート間で同じ通貨ペアを表示し、カーソル位置や時間軸を同期させることで、視認性が向上します。これは無料プランでも一部利用可能です。
このマルチチャート表示を使えば、上位足と下位足の関係性を常に把握しながらトレード判断ができるようになります。
次は、インジケーターの時間足ごとの使い分け方について解説します。
インジケーターを時間足ごとに使い分ける方法
TradingViewでは、インジケーターごとに「どの時間足の情報を表示するか」を細かく設定することができます。
これにより、複数の時間足を分析しながらも、チャートの見やすさや精度を保つことが可能になります。
インジケーターを追加する
画面上部の「インジケーター」ボタンから、移動平均線(MA)やRSIなどを追加します。
インジケーターの設定画面を開く
追加したインジケーターの左側にある「設定アイコン(歯車)」をクリックします。
「パラメーター」の時間足を変更する
設定画面の「パラメーター」タブの中の、時間足のプルダウンを変更します。
デフォルトではチャートと同じ時間足で表示される設定になっていますが、プルダウンから他の時間足を設定することで、チャートは5分足、インジケーターは1時間足といったように異なる時間足のインジケーターを表示することができます。
MT5でのマルチタイムフレーム分析のやり方
MT5(MetaTrader 5)は、多機能で自由度の高いチャートソフトとして、プロ・個人を問わず世界中のトレーダーに利用されています。
このセクションでは、MT5を使ってマルチタイムフレーム分析を行うための基本操作から応用テクニックまでを丁寧に解説します。
MT5でマルチタイムフレーム分析を行うための基本機能
MT5(MetaTrader 5)は、マルチタイムフレーム分析を効率よく行うための機能が標準で充実しています。
特別なスクリプトや有料ツールを使わなくても、以下のような基本機能だけで十分な分析環境を整えることが可能です。
- 複数チャートの同時表示機能
同じ通貨ペアを複数の時間足で別ウィンドウとして表示でき、それらを自由に並べて同時に観察することができます。 - 豊富な時間足の選択肢
MT5では1分足〜月足まで、合計21種類以上の時間足が用意されており、自分のトレードスタイルに合わせて柔軟に切り替えられます。 - テンプレート機能
インジケーター設定やチャート配色などをテンプレートとして保存し、複数の時間足チャートに一括で適用することができます。
これらの基本機能を使うことで、手間なく「週足+日足+4時間足」などのマルチタイムフレーム構成を再現することができます。
複数チャートを開いて時間足ごとに分析する手順
MT5では、同じ通貨ペアのチャートを複数開いて、各ウィンドウに異なる時間足を設定することでマルチタイムフレーム分析が可能です。
以下の手順で簡単に設定できます。
「気配値」から通貨ペアを右クリックして「チャートウィンドウ」を選択
新しいチャートウィンドウが表示されます。
時間足を設定(例:日足)
ツールバー上部にある時間足ボタン(M1〜MN)から任意の時間足を選びます。
同じ通貨ペアで再びチャートを追加
1つ目のチャートと同じようにして別のチャートウィンドウを開き、1つ目のチャートとは別の時間足を設定します。
ウィンドウを整列表示
メニューバーの「ウィンドウ」→「ウィンドウの整列」や「水平分割」を使えば、複数チャートを見やすく整列できます。
この方法を使えば、異なる時間足を同時に確認しながら相場を多角的に分析することができ、環境認識からエントリー判断まで一貫性のある判断が可能になります。
インジケーターの時間足を手動で切り替える方法
インジケーターの時間足を手動で切り替える方法
MT5に標準搭載されているインジケーターは、基本的に「現在表示しているチャートの時間足」に連動して動作します。
そのため、異なる時間足のインジケーターを1つのチャート上に同時表示するには、いくつか工夫が必要です。
以下は、手動で異なる時間足の情報を取り入れる方法です。
- チャートごとに異なる時間足+インジケーターを設定
複数のチャートウィンドウを開き、それぞれの時間足に合わせたインジケーターを個別に設定します。これが最も確実かつ視認性の高い方法です。 - カスタムインジケーターを使ってMTF表示を擬似的に行う
例えば「Higher Timeframe Moving Average」など、他の時間足の情報を表示するよう設計されたインジケーターを使えば、1つのチャート内でもマルチタイム情報が得られます。 - 同じインジケーターを複数追加して、パラメーターを変える
移動平均線などの単純な指標であれば、「長期(200期間)」と「中期(50期間)」などを重ねて表示することで時間軸の違いをある程度再現できます。
ただし、標準インジケーターでは完全なマルチタイムフレーム表示はできないため、より高度な分析にはカスタムインジケーターの導入を検討すると良いでしょう。
次はその「MTFインジケーター」の活用法をご紹介します。
マルチタイムフレーム対応インジケーターを使う方法(上級編)
MT5では、マルチタイムフレーム(MTF)に対応したカスタムインジケーターを利用することで、1つのチャート上に他の時間足の情報を重ねて表示することができます。
上位足の移動平均線やRSIの状況を下位足で確認できるため、環境認識とエントリー判断をスムーズに行うことが可能になります。
- MTF Moving Average(上位足のMAを表示)
- MTF RSI(1時間足や日足のRSIを下位足チャートに重ねる)
- MTF Ichimoku(日足の雲を15分足に表示 など)
これらは無料で配布されているものもあれば、有料の高機能版も存在します。導入方法は以下のとおりです。
- MT5の「ファイル」→「データフォルダを開く」をクリック
- MQL5 → Indicators フォルダに.ex5または.mq5ファイルを追加
- MT5を再起動し、ナビゲーターからインジケーターを読み込む
- プロパティ内で時間足(TimeFrame)を指定
多くのMTFインジは、表示させたい時間足(例:H1, D1)を手動で選ぶ設定項目があります。
MTFインジケーターを正しく使うことで、チャートの切り替えや複数画面の煩わしさを軽減しながら、より多角的な分析ができるようになります。
ただし、情報量が増える分、分析に一貫性を保つ工夫も重要です。
マルチタイムフレーム分析の手法3選
基本的な考え方は共通ですが、マルチタイムフレーム分析にもいくつかやり方があります
3つのマルチタイムフレーム①トリプルスクリーン
投資苑の著者アレクサンダー・エルダーの手法で、複数時間軸のチャートを並列表示するという方法です
例えば、メインで日足を見ている場合、日足チャートといっしょに週足と4時間足を表示させるというものです
3つのマルチタイムフレーム②Know Sure Thing
Know Sure Thing(KST)はローソク足チャートを変換してシグナルを出す、ストキャスティクスなどのインジケーターの仲間です
KSTはレートオブチェンジ(ROC)という現在のレートと過去のレートの差のインジケーターに基づくインジケーターです
ROCで参照する過去のレートの時間軸を4つにすることで複数の時間足のデータを参照することになりマルチタイムフレーム分析が可能になります
3つのマルチタイムフレーム③チャート+長期足インジケーター
通常使用するチャートの上に長期足で使うインジケーターを表示する方法です
例えば日足チャートの上に5日移動平均線を表示させているとしたら、25日移動平均線を表示させると週足の5週移動平均線を表示させるのと同じことになるので、長期足の移動平均線を表示させることになります
マルチタイムフレーム分析を初心者が習得するためにやるべきこと
マルチタイムフレーム分析をFXや株のチャート分析初心者が使いこなせるようになるために今日からやるべきことは、複数時間足を表示させた画像や複数時間足のインジケーターを表示させたチャートの記録を作り、徹底的に言語化することです
僕がこのブログを始めたのも株やFXに関して勉強したことの理解を深めるというのが目的の1つです
言語化できないということは勉強したことを自分のものにできていないということです
ローソク足やインジケーターが表示されただけのチャートを見渡して、どれだけのことに気づき、どれだけのことを言語化できるのかを徹底的にやってみましょう
チャート分析を始めたばかりのころは感覚に頼ってしまい、なんとなく上昇トレンド、なんとなくトレンド反転した、というふうな見方しかできませんが、言語化を習慣化していくと、自分の中のチャート分析の基準が明確になっていき、はっきりとチャート分析の根拠が説明できるようになっていきます
MACDとストキャスティクスのお手軽マルチタイムフレーム分析
ここで例としてあげる方法は日足チャートに日足のストキャスティクスと週足のMACDを表示させる方法です
スマホで僕が使ってるチャートアプリでは一度に表示できるインジケーターは、1種類の時間足のものだけです
日足のチャート、MACD、ストキャスティクスを表示して、MACDのパラメーターをうまいこといじって週足のMACDにしていきます
MACDはMoving Average Convergence and Divergenceの略で、移動平均線をもとにした指標です
よく使われるMACDの設定はこんなかんじです
MACDライン・・・・12日、26日指数平滑移動平均線の差
シグナルライン・・・9日指数平滑移動平均線
MACDヒストグラム・MACDラインからシグナルラインの値を引く
これらをひとまとめに表示して、インジケーターとして使います
MACDの日足→週足変換で上位足をチェック
MACDでは指数移動平均線の期間を変えることができます
これをいい感じにして、週足のMACDをつくりましょう
週足チャートでは1週間分の値動きを1本のローソク足で表しています
つまり、日足のローソク足5本分が1本の週足のローソク足に圧縮されているのです
MACDの指数移動平均線で参照する期間を長くすれば、指数移動平均線を書くためのデータは何日分にもできます
1週間の稼働日は5日なので、日足のMACDを表示させる各期間を5倍すれば、実質週足のMACDと同じものが表示できます
このやり方は日足→週足だけでなく、4時間足→日足という方法も当然できます
下位足のインジケーターを上位足のインジケーターに変換するときには、それぞれの時間足の期間の比をインジケーターの期間にかけることで、変換ができます
マルチタイムフレーム分析のよくある質問
- Qマルチタイムフレーム分析とは何ですか?
- A
マルチタイムフレーム分析とは、複数の時間足(例:日足・1時間足・15分足など)を組み合わせて相場の方向性やトレンドの強さを判断する手法です。
上位足で環境認識を行い、下位足でタイミングを計ることで、より精度の高いトレードが可能になります。
- Qマルチタイムフレーム分析は初心者でも使えますか?
- A
マルチタイムフレーム分析は初心者でも基本的なルールさえ覚えれば、簡単にトレードに取り入れられる分析方法です。
まずは、取引している時間足より長い時間足と短い時間足のチャートを見る癖をつけるようにしましょう。
- Qマルチタイムフレーム分析はどの時間足で使えばいいですか?
- A
一般的には「上位足:トレンド把握」「中位足:戦略立案」「下位足:エントリー判断」と役割を分けて使います。
たとえば以下のような組み合わせがおすすめです
トレードスタイル 長期足 中期足 短期足 スイングトレード 週足 日足 4時間足 デイトレード 日足 1時間足 15分足 スキャルピング 4時間足 15分足 1分足
- Qマルチタイムフレーム分析で長期足と短期足の方向が逆の時はどうすればいいですか?
- A
まずは長期足の方向を優先するのが基本です。
たとえば、日足が上昇トレンドであれば、短期的な下落(押し目)で買いのチャンスを狙うのがセオリーです。
もし時間足の方向性がバラバラで迷ったら、トレードを見送る判断も重要です。
- Qマルチタイムフレーム分析だけで勝てますか?他の分析と併用すべきでしょうか?
- A
マルチタイムフレーム分析は非常に有効ですが、これだけで完璧というわけではありません。
サポート・レジスタンスやチャートパターン、テクニカル指標(移動平均線やRSIなど)と併用することで、より確度の高い判断が可能になります。
マルチタイムフレーム分析はあくまで「ベースの環境認識」として活用するのが理想的です。
- Qマルチタイムフレーム分析は移動平均線やRSIなど、テクニカル指標との相性はいいですか?
- A
マルチタイムフレーム分析は非常に相性が良いです。
たとえば、上位足で移動平均線に支えられているポイントを確認し、下位足でRSIのダイバージェンスが出たらエントリーを検討するなど、複数の視点を組み合わせることで、根拠が増しトレードの質が高まります。
- QTradingViewでマルチタイムフレーム分析を行う方法は?
- A
TradingViewではチャートを複数表示させたり、MPTC(マルチタイム期間チャート)を利用したりして、同じ銘柄を異なる時間足で同時に確認できます。
また、インジケーターの時間足を個別に設定することも可能です。
無料プランでも2画面表示まで対応しており、初心者にも扱いやすいツールです。
- Qマルチタイムフレーム分析ができるおすすめアプリ・ツールは何ですか?
- A
MT4 / MT5(MetaTrader)はカスタマイズ性が高く、様々なインジケーターを組み合わせたマルチタイムフレーム分析が可能なおすすめのツールです。
- Qマルチタイムフレーム分析を初心者はどこから学べばいいですか?おすすめの練習方法はありますか?
- A
まずは1つの通貨ペア・1つのトレードスタイルに絞って、上位足と下位足を見比べながら分析する練習から始めましょう。
デモ口座で実際にトレードしてみると、理解が早まります。
TradingViewなどでチャートを日々観察し、相場の「流れ」を感じることが上達の近道です。
- Qマルチタイムフレーム分析は意味がないという情報もありますが実際どうなんでしょうか?
- A
マルチタイムフレーム分析は上位足、下位足の値動きを確認し総合的に値動きを判断することでダマシにあう確率を減らせるという点で意味があります。
1分足などの短期の時間足が、30分足、1時間足などの長期の値動きをつくる(長期足の値動きに短期足が従うのではない)。
なので、マルチタイムフレーム分析は意味がないという意見も見かけますが、複数の時間足を見ておいて損はないと思います。
マルチタイムフレーム分析のまとめ
マルチタイムフレーム分析は、複数の時間軸でチャートを確認することで、相場の全体像と現在のトレンドの強さを把握できる強力な手法です。
短期足だけに頼ったトレードでは見落としがちな「大局の流れ」や「だまし」を回避しやすくなるため、勝率の向上にもつながります。
特に、1時間足でエントリーポイントを探す際に、日足や4時間足で環境認識を行うことで、より根拠のあるトレード判断が可能になります。
TradingViewのようなツールを活用すれば、複数の時間足を同時に表示したり、インジケーターを時間軸ごとに調整したりすることも可能です。
初心者のうちは難しく感じるかもしれませんが、まずは「上位足で方向性を確認し、下位足でタイミングを計る」という基本から始めてみましょう。
マルチタイムフレーム分析を取り入れることで、あなたのトレード精度は確実に一段階レベルアップするはずです。
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