人がある状況を現実と定義すれば、その結果としてその状況は現実になる
アメリカの社会学者、ウィリアム・アイザック・トマスさんはトマスの定理で人の行動と予測と未来について定式化しました
その中身を一言で表したのが冒頭の言葉です
トレード関係なくない?
まあまあそういわずに
トマスさんがそういうつもりでいったのかはわかりませんが、この言葉はFXや株のテクニカル分析にもつながるところがあると思ったので予言が予言の力でその予測を現実にしてしまうという現象について紹介していきます
みんなの予測が未来を創る
未来は行為の結果であり、行為は行動の結果であり、行動は予測の結果です
人は未来の出来事を予測しようとするとき、現在について多くのことを仮定します
その仮定を十分に強く信じるならば、その結果として行為が生じ、それが予測された未来を引き起こすと考えられるわけです
新型コロナの感染拡大でいろんなものが品薄になりましたが、これもトマスの定理をあてはめられると思います
みんながコロナ感染拡大でマスクが不足すると予測するとすれば、不足する前に買いだめしておこうと思うでしょう
マスク不足の予測はマスクを買いだめしている人や、陳列されているマスクの数が少ないのを見た人に伝播していきます
そうしてみんながマスクを積極的に買うようになり、お店に並ぶマスクが不足していきます
結果として、予測した未来が現実のものになってしまいました
実際に、毎日みんながマスクをするようになって供給量が追いついていないのかもしれませんが、少なからず予測が現実になる力も働いていると思います
チャート分析もみんなの信じる力が成り立たせる
ここからはFXや株のチャート分析の目線で、予測の力を考えてみます
多くのトレーダーがチャート分析をして今後のレートの動きを予測しようとしています
予測の手法は、プライスアクション、インジケーターなどたくさんありますが、これらをみんなが信じるから予測手法が成立するんだと考えることもできます
個人的には特にFXの値動きは、本来は、買う人が多ければ上がって売る人が多ければ下がるという完全にランダムなものだと思っています
ですが、そういうルールがあるかのように規則的な動きを見せることが多々あります
僕が使っているストキャスティクスを例に挙げてみます
実際にはFXに各通貨ペアの適正なレートというものはありません
それなのにストキャスティクスのような買われすぎ、売られすぎを示すインジケーターがなぜ存在するのでしょうか
適正なレートがないならどこまでレートが上がって下がってもおかしくない、つまり本当の意味での買われすぎ、売られすぎを定義するラインはないはずです
ですが、実際のチャートを見てみると一般的に買われすぎの判断ラインとされるストキャスティクスが80に達するあたりからレートが下落する場面は少なくありません
なぜ、こんなことが起きるのでしょうか
それはみんなが”買われすぎだからここでショートエントリーすればレートが下がって儲かる!”と信じるからです
その結果、多くのトレーダーがショートエントリーすることで、レートは押し下げられていき最初にみんなが予測した”レートが下る”という未来が現実になります
チャート分析はみんながみているのと同じものをみるべき
チャート分析のためのインジケーターには本当にたくさんの種類のものがあります
チャート分析の勉強をしているとみんなが使っていないようなインジケーターとか、自分しかやってないような分析手法を使ってみたくなります
チャート分析はそれぞれトレーダーごとにあうあわないもあると思うので、マニアックな手法が一概に悪いとは言えませんが、僕はみんながみているものほどチャートへの影響が大きいと思っています
つまりより多くの人が使っているインジケーターを多くの人が使っている設定で活用した方が、相場の予想が当たりやすくなると思っています
まとめ
予測が現実になる、というのは必ずしも理論的な推察によって予想が当たるというだけのものではありません
特にランダムな動きをする、人の行動が反映される相場のようなものに対しては過去の実例から導き出される推察より、そこに関わる人の予想とそれに基づく行動の方が影響が大きいように思います
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