株やFXのトレードで情報収集は重要です
投資対象の銘柄に関する経営情報を集めたり、市場が強気なのか弱気なのかとか、時には人の分析を参考にすることもあると思います
これらの情報を集めたら、集めた情報を上手く使わないといけません
情報を歪めてとらえてしまってはどんなに情報を集めてもそれを活かして勝てるトレードをすることはできないでしょう
自分は大丈夫と思ったあなた、本当にそうでしょうか
自分に都合のいい情報だけを受け入れて、都合の悪い情報は無視してしまうことないでしょうか
文章で読むとこんなバカみたいなことをするわけがないと思ってしまいますが、この思考の癖は人間だれにでも備わっています
この思考の癖は確証バイアスといって、トレードをするときの思考もこの癖に歪められてしまっている場合があります
確証バイアスを知って正しい情報集、分析ができるようになりましょう!
- 確証バイアスとは何か
- 確証バイアスがトレードに与える影響とその対策
確証バイアスの例
ユロルロング、含み損だけどダブルボトムだからここから逆襲だ!
でも、こっちのインジケーターは売りサインだよ
んー、無視!
上の例では、金taroは少し前にユーロドルをロングして含み損があるようですが、まだまだあきらめていなくて、ユロルあがれーと思ってます
そんなときには下落→上昇の反転サインを探してしまいます
僕もロングしているときはtwitterを見てると”ユロルそろそろ上かなー”みたいなtweetを無意識に探しちゃったりします
そんな状態で見つけたダブルボトムはまさに僥倖!!って感じですよね
でも全部のサインが上昇を示唆してるなんてことはあんまりなくて、下落サインを出してるインジケーターもあります
浦島くんにそれを教えてもらったのに金taroはそれを無視してしまいました
人それぞれトレードルールがあるので、それとは関係ない情報なら無視してしまっていいのですが、確度が高そうならそういう情報を取り入れることも必要でしょう
金taroはロングにこだわりすぎて、意固地になって無視してしまっているような感じもあるので、一度冷静になる必要があります
こんなふうに自分の都合のいい情報だけを見つけに行ってしまって、都合が悪い情報を完全に無視してしまうのが確証バイアスです
日常生活の確証バイアス
トレードだけでなく日常生活でも、僕たちの思考は確証バイアスによって歪められています
例えばこんなことってないですか?
あなたは新しいスマホを探しています
好きなスマホのメーカー(A社)があって、最近そのメーカーの最新機種が発売されたようです
でも一応他のメーカーのスマホとも比較してみようと調べ始めます
A社のスマホも一長一短で、他社の方が優れているところもいくつかあるようです
でも、”こことこことここがいいしA社のやつにするかー”と結局A社のスマホを買いましたとさ
納得してA社のスマホを買ったように見えますが、初めからあなたが買うスマホは決まっていたのです
情報を一応集めようと思っても、好きなメーカーであるA社の優れた部分だけに注目し、他より劣る部分は無視したのです
この例では人の好みが介在するので、100%合理的な選択的というのは存在しないのかもしれませんが、より論理的に考えるべき場面でもこの確証バイアスは僕たちの思考に影響します
確証バイアスのせいで大負けするストーリー
例えばある会社(A社)の株をブル男くんが持っていたとします
A社は株主優待が魅力的だったので買いました
半年に一回送られてくる株主優待は銘柄を保有する価値を十分に感じさせてくれるものでした
ですが、最近業績がよろしくないようで株価が少し下がってきており含み損が少しでてきました
もう少し下がると、これまでもらった株主優待分よりも大きな損になってしまいそうです
この時点で、保有効果という別の心理的なバイアスがかかっていて、その銘柄を手放しにくい状態です
ここから確証バイアスがよりこの銘柄を手放さないという考えを強化していきます
株価が低迷しているのはA社の業績の悪化によるものです
一度損切りをして、再度業績が上向いてきたら買い戻すというのも1つの手です
でもブル男くんが株を手放さない理由は、配当利回りです
優待の相当額はずっとキープされたままなのに、株価が下がっているので株価あたりの配当の利回りは上昇しており、今や10%に迫っています
これだけ利回りがよくて、A社みたいな有名企業の株を利回り狙いの投資家が放っておくわけがないよ
確かに利回り10%は魅力的です
ですが、追い打ちをかけるように次の決算で業績の下方修正がありました
株価はさらに下がりそうです
今回の業績悪化はA社単独のことじゃなくて、日本経済全体が落ち込んだからだよ。A社の株の価値が下がったわけじゃないから株価は元の水準まで戻るはず
確かにこのとき、日経平均株価も下がっていて同じ業界のライバル社も株価を下げています
でもその後もA社の株価は下がり続け、含み損は大きく膨れ上がって優待含めたその銘柄トータルの損益はマイナスを覚悟するしかない状態になってしまいました
ブル男くんはなんでこんなことになるまでA社株を持ち続けてしまったのでしょうか
確証バイアスを知っていれば答えは簡単にわかりますね
自分の”A社株を持ち続けたい”という考えを支持する情報ばかりに注目して、損切りを促すような情報は無視してきました
その結果損切りの決断をできず含み損を大きくしてしまいました
もし投資をする目的がA社を応援するためならブル男くんのようにずっともち続けてもいいでしょう
でも大半の人が投資する目的はそうではないはずです
投資でお金を稼ぎたいならひたすら合理的に、利益を確実に積み上げていける選択肢を選び続けなければなりません
A社株をキープする前提ではなく、フラットな見方でA社の業績を見直せば、損切りの判断が早い段階でできていたかもしれません
A社に使っていた資金を他社に回して利益を上げることができたかもしれません
こんなふうに情報の扱いに偏りが出てしまうのはすべての人間にあてはまる思考の癖です
もし、トレードをするときに決断を迫られるときが来たら自分の考えや集めてきた情報に偏りがないか考えてみてください
確証バイアスを克服
どうやれば確証バイアスを乗り越えてフラットな思考でトレードができるでしょうか
僕が思いつくのはこの2つです
- ポジションをもっているとき、自分がポジションをもっていなければどう行動するか考える
- チャートをさかさまにしてみる、自分が行おうとしているのとは反対方向のトレードをする目線になる
ポジションをもっていないときの気持ちになる
さっきの例で書いたように人には自分のもっているものを過大評価してしまう保有効果という思考の癖があります
これがあなたのトレード判断を一方向に偏らせ、そこに確証バイアスがまとわりつきます
なので、自分がポジションを持っている状態で決済タイミングを悩んだなら自分がポジションをもっていない気持ちでもう一度チャートをみてみましょう
株を持っているときの決済タイミングに迷ったなら、株をもっていない人の気持ちでチャートや業績を見ます
その状態でも新規で買いたい銘柄なら株をキープしてもいいです
でも、新規で買いたくなかったりもう少し様子見したい銘柄ならすぐに売るべきでしょう
逆の立場に立ってみる
下に行くだろうという目線でチャートをずっと眺めていると、どんどんチャートは下に行きたがっているように見えてきます
そんなとき、最後の確認にチャートをさかさまにしてみるというのも1つの手だと思います
上下反転させたチャートでレートが上に行きたがっているように見えるなら、上下の偏りなくチャートが見えているということでしょう
また、あなたが買いたいときは売りたい人の気持ちにも立ってみましょう
もしあなたが売りたい人目線で売りたくなるチャートなら相場には買いたい人も売りたい人もいる状態でどちらに動くかわからない状態です
レートが上に行くか下に行くかは結局買われる量が多いか売られる量が多いかで決まります
あなたが買いたいけど売りたくない、売りたいけど買いたくないと思えるようなタイミングまで待てば予想と逆にチャートが動くことを減らせるかもしれません
トレードと確証バイアスのよくある質問
確証バイアスと過信との違いは何ですか?
確証バイアスとは、自分の仮説や信念を支持する情報ばかりを重視し、反する情報を無視・過小評価してしまう心理的傾向です。一方、過信は自分の能力や判断に対して過度に信じることで、反省や検証を怠る態度を指します。確証バイアスは「情報選択」の偏りに関する問題、過信は「自己評価」の過度さに関する問題と捉えると理解しやすいでしょう。
確証バイアスは初心者トレーダーに特に起こりやすいですか?
はい。初心者トレーダーは経験が浅く、自分の分析スタイルや仮説を持ちにくいことから、自分にとって都合のいい情報だけを無意識に追いがちです。また、判断に自信がない分、他者の情報や意見に頼る傾向が出て、その中から“自分の仮説を後押しするもの”を選んでしまうリスクが高まります。
確証バイアスはどのような場面で特に強く働きますか?
特に次のような場面で強まりやすいです:
- 含み損が出ているポジションを抱えているとき
- 自分が信じたいシナリオがあるとき
- 長期間持ち続けてきた銘柄・通貨を手放したくないと感じているとき
- 感情が高ぶって冷静さを欠いているとき
こうした場面では、自分にとって都合のいい情報ばかり探したくなる心理が働きやすくなります。
確証バイアスを防ぐための習慣はありますか?
以下の習慣が有効です:
- 定期的に自分の仮説を疑ってみる(反対仮説を立ててみる)
- ノートや記録に「なぜこの判断をしたか」「反対意見は何か」などを書き残す
- 時間を置いて冷静に考え直す(感情的判断を抑える)
- 他人の意見や分析を意図的にチェックし、反対意見にも目を通す
- 複数のインジケーター・分析手法を併用してバランスを取る
確証バイアスはトレード以外でも影響しますか?
はい。日常生活の判断、ビジネス、対人関係、ニュースの受け取り方など、さまざまな場面で影響を及ぼします。たとえば、自分の好きな製品やブランドを選ぶとき、既に決めた結論を正当化する情報だけを探してしまうことが、その一例です。
確証バイアスが原因で壊滅的なトレードになった事例は?
実際には、含み損を抱えている銘柄を「もうすぐ反発するはず」と信じて、反証となる決算悪化やネガティブ材料を無視し続け、さらにポジションを拡大してしまったケースがあります。その結果、反転が起こらず損失が拡大し、資金を大きく失う—こうした事例は心理バイアスの影響が強く働いた典型例です。
確証バイアスと逆張り・順張り戦略には関係がありますか?
密接に関係があります。順張り戦略ではトレンドに乗るという前提があり、その仮説に合致する情報ばかりが目につきやすく、確証バイアスが強まるリスクがあります。一方、逆張り戦略では「反転」を見込む前提を持つので、順張り派とは逆方向の視点を常に意識する必要があります。どちらの戦略でも、自分の仮説を都合よく補強する情報だけを追わないよう注意が必要です。
確証バイアスを克服する時のチェックリストはありますか?
はい。以下のようなチェックリストを持っておくと便利です:
- 今の判断に反対する材料は何か?
- それを無視していないか?
- 自分の仮説を変えるなら、どのような条件・きっかけが必要か?
- 感情が判断を左右していないか?
- 別の視点(売り目線・逆方向)で見たらどう見えるか?
- 過去の判断ミスからどう学べるか?
確証バイアスを扱った本・参考文献はありますか?
はい。心理学・行動経済学・投資分析の文脈で、確証バイアスを扱っている代表的な本としては以下があります:
- 『Thinking, Fast and Slow(ファスト&スロー)』/ダニエル・カーネマン
- 『Misbehaving(ミスビーヘイヴィング)』/リチャード・セイラー
- 『The Undoing Project(アンドゥーイング・プロジェクト)』/マイケル・ルイス
- 投資・トレードに特化した書籍の解説部分(行動バイアス章)
これらを読むことで、確証バイアスを理解・克服するヒントが得られるでしょう。
記事内で紹介されている「チャートを逆さまに見る方法」はどう応用すればいいですか?
記事にあるように、チャートを上下反転させて眺めることで、自分が持っている仮説(たとえば「ここは上がる」と思っている)に偏った見方になっていないかをチェックできます。具体的には:
- 通常条件で見て「上昇傾向に見える」なら、反転チャートで「下降傾向に見える」と感じるか?
- 逆に、反転チャートでも「上昇気味だ」と感じたら、視覚的バイアスが強く働いている可能性がある
- この方法を使うと、自分の結論を支えるチャートパターンに偏って注目しているかどうかを自覚しやすくなる
このように、視点を物理的に“反転”させて観察することで、偏りを発見しやすくなります。
トレードと確証バイアスのまとめ
確証バイアスは、自分の仮説や信念を裏付ける情報ばかりを重視し、都合の悪い情報を軽視してしまう心理的なクセです。
投資やトレードにおいては、含み損を抱えている時や自分の考えを正当化したい時に特に強く働き、冷静な判断を妨げて大きな損失につながるリスクがあります。
対策としては、反対仮説を意識的に検討すること、他人の意見や反証材料にも目を向けること、チャートを逆さまに見るなど視点を変える工夫が有効です。
また、記録を残して自分の判断の根拠を振り返ることで、思考の偏りを客観的に確認できます。
確証バイアスは誰にでも起こり得る自然な心理ですが、意識して対策を取ることでトレードの質を高め、長期的に安定した成果につなげることができます。
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