ボリンジャーバンドはローソク足チャートを分析するインジケーターの1種
移動平均線と上下のσ(標準偏差)、2σのラインの5本で表示することが一般的
中央の移動平均線の方向からトレンドの方向を、上下のσ、2σのラインの収縮(スクイーズ)、拡大(エクスパンジョン)からボラティリティを測る
また、レートがσ、2σと移動平均線からどれだけはなれているかというところから相場の過熱感を測るのにもつかわれる
それぞれのバンドを以下のように呼ぶこともある
中心の移動平均線・・・ミッドバンド
+σ ・・・アッパーバンド1
+2σ・・・アッパーバンド2
+3σ・・・アッパーバンド3
-σ ・・・ロワーバンド1
-2σ ・・・ロワーバンド2
-3σ ・・・ロワーバンド3
発明した投資家の名前がついている
ボリンジャーバンドという指標の名前は、アメリカの投資家ジョン・ボリンジャーが考案したことからボリンジャーの名前がついている
ボリンジャーバンドの特徴
株価やFXは秒単位でレートが変動する
そのため、ノイズのような値動きが多く、大きな動きを知るためにはある期間の平均値を使ってレートの目安とすることが多い
ただし、平均値だけでその期間の価格を判断してしまうと、その期間中に価格が適正水準にあって安定的に推移していたのか、あるいは、適正水準が定まらずに大きく上下動したのかがわからない
そこでボリンジャーバンドを使う
ボリンジャーバンドで次につけるレートの変動範囲が予想しやすくなる
価格が大きく動いている(ボラティリティが高い)相場では、次に付ける値段も直前の値段から大きく離れて決まる可能性があるので、平均値を基準に大きく変動する値幅分をプラスして次に付ける値段の予想範囲を想定する
値動きが一定範囲の狭い値幅に収まって終始している相場では、次に付ける値段も同じ価格水準に留まる可能性が高いと考えられるので、平均値を中心に狭い変動範囲を予想する
ボリンジャーバンドはレートの標準偏差から次に起こりうるレート変動の幅をわかりやすく示してくれる
ボリンジャーバンドの基本形4つ
ボリンジャーバンドとローソク足のパターンは大きく4つに分けられる
スクイーズ
バンドの幅が狭くなっている状態のこと
保合い相場を意味する
スクイーズの状態ではボラティリティが低く、取引をしても一撃で大きな利益を期待できる相場ではない
エクスパンジョン
バンドの幅が拡大している状態のこと
ボラティリティが高まっていることを意味し、トレンド発生時に見られる
値動きが大きくなっていることを示しているので、エクスパンションの発生時には、大きな利益を期待できる相場状況といえる
ボリンジャーバンドを使った順張り型の手法ではスクイーズ→エクスパンジョンの動きを目印にする
バンドウォーク
ローソク足が±2σのラインに沿って並んでいる状態のこと
トレンドが継続しているときに見られ、上昇トレンドでは+2σのライン、下降トレンドでは-2σのラインに沿ってローソク足が並ぶ傾向がある
ボージ
バンドの幅が最も拡大した部分をポージという
価格の変動幅が最大になったタイミングであり、トレンドの終了を示唆する
活用法
順張り型(ボラティリティ・ブレイクアウト)
保合い相場から脱したタイミングを狙う方法
- スクイーズの状態から、終値が±2σのバンドをはみ出したとき
相場の動きが乏しいときは5本のボリンジャーバンドの幅が狭まり(スクイーズ)、相場の動きが激しいときにはバンドの幅は広がる(エクスパンジョン)
スクイーズの状態は、相場がエネルギーをためている保合い状態といえる
その状態から株価がバンドの上下限を抜けると大きく動き出すという特徴がある(ブレイクアウト)
バンドの幅が狭くなってきたところで値動きに注目し、終値が±2σをはみ出したら、はみ出した方向に今後も値動きが続いていくと考えて、トレンドに追随する
- トレンドと逆側のバンドの縮小への転換
- ブレイクした方向のバンドが反転
ボラティリティ・ブレイクアウトを使った売買での決済するポイントは、バンド幅が拡大から収縮へと転じるところ
ボリンジャーバンドは、通常ブレイクアウトした場合、ブレイクした方向のバンド(上昇トレンドでバンドの上方にブレイクした場合はアッパーバンド)が先行して転換に入る
段階的にポジションを決済する場合には、ここが最初の部分的な決済のポイントになる
トレンドと同じ側のバンドの縮小への転換は、トレンドが減衰して保合いに入るとすぐに起こるため、第一の目印となる
次の目印が、ブレイクした方向と逆側のバンドが反転に転じたところ
ここがすべてのポジションを手仕舞うポイントになる
上下のバンドが収縮に転じるということは、相場のエネルギーが放出し切り、トレンドが終わることを意味しているため手仕舞いのポイントとなる
逆張り型
レンジ相場で使う方法
±1σ~±3σを各々下値支持線や上値抵抗線と考え、レートが-1σ~-3σにきた時に買いポイント、+1σ~+3σにきた時に売りポイントとみなす
統計学的に考えて、±σの範囲にレートは68%、±2σなら95%、±3σなら99.7%の確率で収まるという考え方にのっとった手法
±σを使うか、±3σを使うかはトレーダーごとの判断になるが、中心線に近い位置を指標にするとトレード頻度は多くなるが、反発しない場合も多い
一方で中心線から遠い位置を指標にすると、トレード頻度が少なくなるが他のオシレーター系インジケーターでも過熱感を示す位置ともいえるので反発する可能性は高い
バンドウォーク
トレンド発生中に使う手法
相場にトレンドがある場合、中心の移動平均線と±2σライン、あるいは±1σラインと±2σラインの間で上下動を繰り返しながら、価格が上昇(下降)していくことがある
(トレンドはボリンジャーバンドの中心の移動平均線の向き、もしくは複数の時間軸の移動平均線を用いて判断する方法がメジャー)
上昇トレンドであれば上下動の下端にあるラインにレートが来たところでロング、下降トレンドであれば、上下動の上端にあるラインでショートする
ボリンジャーバンドの書き方
標準偏差の計算式
n:参照する日数 xi:ある日の終値 x:参照している期間の終値の平均
計算はチャートアプリがやってくれるのでチャート分析するうえでは式を覚える必要はない
標準偏差がわかることで参照している期間のレートのばらつき度合い(分散)がわかる
分散が大きい=値動きが激しいという意味になる
標準偏差=σが大きくなると中心の移動平均線と隣のσライン、その隣の2σラインの間隔が広がっていくため、ある時点のボラティリティが大きいのかどうかが視覚的にわかりやすくなる
ボリンジャーバンドの計算式
±1σ ライン= 移動平均線 ± 標準偏差×1
±2σ ライン= 移動平均線 ± 標準偏差×2
±3σ ライン= 移動平均線 ± 標準偏差×3
移動平均線のレートに標準偏差から計算した数値を足して描画される
先ほども書いた通り、σが大きければ大きいほど、移動平均線から離れた位置に描画される
価格がバンド内に収まる確率について
ボリンジャーバンドの±1σの範囲内に収まる確率 ⇒ 約68.3%
ボリンジャーバンドの±2σの範囲内に収まる確率 ⇒ 約95.4%
ボリンジャーバンドの±3σの範囲内に収まる確率 ⇒ 約99.7%
ボリンジャーバンドを使った逆張り手法の根幹になっている考え方
統計学的にサンプルが正規分布している場合、ヒストグラムは平均値を中心に山なりに分布する
平均値から値が離れるほど、サンプル数は減少する
そのため平均値から近いエリアに入るサンプルの数が多く、その範囲にレートが収まる確率が高いと考える
18世紀のフランス数学者ド・モアブルは、平均値からの誤差がどのように分布するかを大量に繰り返し実験した結果、釣鐘のような形である「正規分布曲線」をとることを確認した
人を含む動物の身長や体重など自然界においては、正規分布に当てはまる事象が多く観測されている
受験などで使われる偏差値もこの正規分布の考え方に基づいている
偏差値70の人は全体の上から2%強、偏差値60の人は同10%半ばということを示している
マーケティングの世界における「イノベーター理論」でも、正規分布の概念が当てはめられている新しいものを進んで採用する革新者「イノベーター」は全体の2%強とされ、イノベーターの次に新しいものを採用する流行に敏感な初期採用者「アーリーアダプター」は同10%半ば
これをボリンジャーバンドに当てはめると、偏差値70やイノベーターが2σ、偏差値60やアーリーアダプターが1σになります。
相場の意志が作る世界であり、この法則が当てはまると考えてもあながち間違っているとはいえない
ボリンジャーバンドでの相場予測的中確率を高めるコツ
ボリンジャーバンドは単体でも有効な指標だが、MACDと組み合わせることで、逆張り手法での反発する箇所の判断がより明確になる
ボリンジャーバンドの下限までレートが下がった後に、MACDの傾きで下げ止まりの判断をすることで、過熱感(売られすぎ)+下降トレンドの勢いが弱まっていることのダブルチェックになり、予想が当たる可能性が高くなる
またレートが-2σ付近の底値から、そのまま下落し続けてしまう(売られすぎのサインが出ていてもトレンドの勢いが強いとそのまま下落してしまう場合がある)というダマシの動きを、MACDと組み合わせることである程度防ぐことができる
レートがボリンジャーバンドの-2σ付近まで下落し(売られすぎサイン)、その後にMACDが下向きから上向きに転換する(下降トレンドの弱まり)と買いポイント、逆の場合は売りポイントと判断する
ボリンジャーバンドの注意点
逆張り法の場合、ボリンジャーバンドの各シグマ(σ)内にレートが収まる確率を信じ過ぎることは注意が必要
標準偏差の数値は、設定した期間内のレートから算出されたもので、限定的な過去のデータを元にしており、将来のレートが必ずその確率に収まるというものではない
なので、±3σを逸脱することも当然あり得る
(現にある時点のボリンジャーバンドから見れば今のレートは何σ分も外れたところにあるはず)
また、ボリンジャーバンドの開発者のボリンジャー自身は、単純なバンドで反発すると考える利用法を否定している
その理由は、相場における価格変動が統計学で定義するような正規分布に沿って変動しないことがあると見ているためである
また順張り法での場合、上昇すると見せかけて逆方向に動くヘッドフェイクと呼ばれる現象があり、ブレイクアウトしたと見せかけた後で逆方向に動き始める場合もある
ヘッドフェイクに騙されない方法として、押し目、戻り目を待つ。長期足を見るという方法がある
どんな手法も100%値動きを予測することはできない
常に予想が外れた時を想定して、損切りの逆指値注文をあらかじめ入れておくことで、損失をコントロールすることが重要
よくあるボリンジャーバンドの期間
- 日足 20日、25日、75日
- 週足 13週、26週
- 月足 9か月、12か月、24か月
いくつにしなければならないという決まりはないが、他のインジケーターと同様上位足の切りのいい期間と重なるような設定にすることが多い
例:20日=4週=1か月など
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