yahoo知恵袋にこんな質問がありました
投資信託を積立でなくスポット購入をしていくのは難しいですか? 52歳地方中小企業の万年係長です。会社員のほかに複数の事業経営をしており、そちらがメイン収入です。 老後資金は安全資産(預金)とつみたてNISA(限度いっぱい)で確保しているため、残りの給料全額を積立投資信託しています(始めてまだ2年の初心者です)。 チャート(添付画像)を見ていると、数ヶ月おきに基準額が下がる周期があるように感じます。 具体的には毎月30万を積立投資信託(自動)するのではなく、数ヶ月おきの下がったタイミングで100万ずつスポット購入(手動)するほうが得ではないでしょうか? 何を見ても初心者は積立が確実、と書いてあるのでとりあえず積立にしてます。 試しに、積立とは別にボーナスで数回100万ほど底買いしましたが、かなりプラスになっています。 初心者すぎる質問ですが、よろしくお願いいたします。
引用元:yahoo知恵袋
投資信託は毎月一定の金額を積み立てる人が多く買うタイミングは値動きとは関係なく毎月同じ日に買ってる人が多いような感じがしますが、一方でできるだけ安いときに買いたいという気持ちはとうぜんあります
定期購入とスポット購入どちらがいいのか考えていきましょう
毎月30万円も投資できるなら、どっちのやり方でもそれなりのリターンになりそうだけど
私にわけてほしい…
定期購入とスポット購入とは
投資信託には大きく分けて買い方が二つあります
それが冒頭から書いている定期購入とスポット購入です
定期購入は毎月の指定した日に指定した金額で指定した投資信託を自動的に購入する方法です
一方のスポット購入は株などを買うときのように自分で手動で注文を出して購入する方法です
それぞれ長所短所がありますが、投資信託は長期目線で行う人が多く個別銘柄のように銘柄選定や細かい買いタイミングの検討をして買うものでもなく、楽なので定期購入にしている人が多いはずです
定期購入とスポット購入のメリット・デメリット
それぞれの購入方法にはメリット・デメリットがあります
スポット購入のメリットとデメリット
メリットはこんなかんじ
- 素早い投資実行: スポット購入は、即座に一度の取引で資金を投資するため、迅速な投資実行が可能です。これは市場の急激な変動に対応する場合に特に有用です。
- 短期的利益の獲得: スポット購入は、一度の取引で大きな金額を投資することができるため、短期的な利益を追求することができます。特に、市場の変動が予測される場合には、素早い対応が利益を最大化することができるかもしれません。
- 手数料の削減: 積立投資よりも取引回数が少ないため、取引手数料を削減することができます。これにより、長期的な投資においてはコストを抑えることができるでしょう。
一方でデメリットはこんなかんじ
- 市場タイミングリスク: スポット購入は、市場のタイミングに依存しています。つまり、市場が高値である時に購入してしまうと、その後の価格の下落によって損失を被る可能性があります。
- 感情的な判断の影響: スポット購入は、市場の短期的な変動やメディアの影響を受けやすい場合があります。これによって、投資家は感情的な判断を行い、長期的な投資目標から逸脱する可能性があります。
定期購入のメリットとデメリット
定期購入のメリットとデメリットについても見ていきましょう
メリット
- ドルコスト平均法によるリスク分散: 定期的な購入により、投資家は市場の変動に左右されずに一定の金額を投資することができます。市場が高い時には少ない量を購入し、市場が安い時には多くの量を購入することができるため、長期的には投資額の平均コストが下がる可能性があります。
- 自動化による継続的投資: 定期購入は自動的に行われるため、投資家は定期的な資金の投資を忘れることがありません。これにより、投資を継続的に行い、将来の貯蓄目標を達成するための習慣を身につけることができます。
- 感情に左右されない投資: 定期購入は計画的に行われるため、市場の短期的な変動によって感情的な判断を下すことを避けることができます。これにより、投資家は冷静な判断を維持し、長期的な投資目標を実現することができます。
デメリット
- 市場タイミングの制約: 定期購入は一定のスケジュールで行われるため、市場の変動によって最適なタイミングで投資することができません。したがって、市場が最適な状態でない場合にも資金を投資することになります。
- 取引コストの増加: 定期購入は一定の頻度で取引を行うため、取引コストが増加する可能性があります。これにより、投資利益が減少する可能性があります。
- 資金の拘束: 定期購入は定期的に一定額の資金を投資するため、一時的な急な資金需要に対応することが難しくなる場合があります。
これらのメリット、デメリットについて吟味していきましょう
購入タイミングの問題
定期購入とスポット購入のメリット・デメリットを考えてみると当然ながら購入タイミングの面で差があります
”谷を狙ってスポット購入”がいい?
ここでS&P500のチャートを見てみましょう
レートが波打ちながら変動しているのがわかります
質問主の方がいうように定期的かどうかは微妙なところですが、この波の底を狙って買った方がリターンは大きくなるに決まっています
スポット購入に決まり!
もう少しリアルに見てみるとちょっと考え方が変わってきますよ
チャートの谷の見極めは可能なのか?
もう1つチャートを見てみましょう
今がチャートの右端の時点だとして考えてみてください
数日前のレートから大きくレートを下げています
これはスポット購入のチャンスでしょうか?
もう少しチャートの時間を進めてみます
購入チャンスだと思ったタイミングからさらにレートが下ってしまいました
横軸を見れば察しがつくと思いますがこれはコロナショックのときのチャートです
これは極端な例ですが、このように下落してここが購入ポイントだ!と思ったところからさらにレートが下るというのは往々にしてあることで、いつも底値でうまく買えるわけではないということは忘れてはいけません
ちなみに過去のチャートを見て値動きの谷があって、これを予測可能だと感じてしまうことを後知恵バイアスといいます
チャートの谷を見極めることができる技術があるのであれば、投資信託の積み立てなんかせずに個別株なり、指標のCFDなりやればいいわけです
それを選ばずに低リスクを目指して投資信託を投資対象に選んだとすると、底値で買ってガツンと儲けるみたいな考えは捨てた方がいいでしょう
定期購入の購入日
定期購入の場合、毎月何日に購入するのかを設定します
この設定には避けた方がいい日がいくつかありそうです
- 配当日: 株式や一部の投資信託では、配当が支払われる日に株価が下がる傾向があります
これは配当狙いで配当を受け取る権利が得られる期日直前に株を買って、権利確定後すぐに売る投資家がいるためです
決算日が月末である企業が多く、その場合権利確定も月末になります
つまり配当日を避ける≒月末を避けるのがよいということになります
ちなみに日本の企業の場合3,9,12月が決算月である場合が多いです
どうしても家計の事情などで月末定期購入とせざるを得ない場合、少しだけ面倒ですがこの月だけ月末を避けてスポット購入という方法も考えられます - キリのいい日付:先程の月末もそうですが、月初や10日、20日などのキリのいい日は避けた方がいいかもしれません
「月初の買い」「月初の高値」と言われる現象があり、月初めは株価が上がる傾向があります
またそのほかのキリのいい日付も売買が集中する可能性があり、値動きが比較的不安定な日付といえます
中途半端な日付を狙うのがいいでしょう - 大きなイベントの前後(上級): 大きなイベント(経済的、政治的なものなど)が予定されている場合は、市場の不安定性が高まることがあります。このような時期には定期購入を避けることが賢明です。
あらかじめこれらのイベントを考慮して定期購入日付を決めるのは少しハードルが高いですが時間があれば考えてみるのも面白いでしょう - 季節的な変動が大きい時期: 特定の業界や市場が季節的な変動に影響を受ける場合、それに関連した時期には定期購入を避けることが推奨されます。
“Sell in May, and go away,don’t come back until St Leger day.”という有名な格言があります「5月に売ってどこかに行け、セント・レジャー・デーまで戻ってくるな」という意味ですが、もともとこれは、イギリスの投資の格言です。「夏の株式相場は盛り上がらず、株価が上がらないので、5月には株を手放して、9月の中旬に開催される有名な競馬レース『セント・レジャーステークス』後に株を再開しなさい。」ということを表しています。
逆に安く買いたい投信積立勢としては5~9月に買ってそのほかの時期は買わないor投資額を下げるなどという作戦もありかもしれません
3、4については少し調査が必要だったり1、2についてもその信ぴょう性は定かではありませんが購入日がいつでもいいのであれば月末月初は避けてキリの悪い日付を選ぶくらいはしてもよさそうです
感情に左右されない投資
定期購入のメリットとして感情に左右されない投資ということを書きましたが、これが意外と結構重要だったりします
定期購入の場合、基本的にチャートを見る必要はなく、たまに投資金額の見直しをすればいいだけでいつ買うのかとかいくら買うのかという投資判断をすることはほとんどありません
人によっては儲かってるのか損してるのかも確認しなくなります
スポット購入をするということは自分で投資タイミングや金額を判断するということになります
これがワナだったりします
投資判断を上手くやれば儲けを最大化できる可能性もあるのですが、その逆もありえます
積立のタイミングや金額を調整しているだけのうちはまだいいですが、欲が出てきてちょっと含み益が出てきたり、急落がくると売りたくなってきます
こうなってくるとプロスペクト理論で表されている心理、行動に僕たちははまってしまい単純な積み立てなら避けられた損失をこうむったり、結局資産が積みあがっていないという状況に陥ります
投資行動というのは僕たちが思っている以上に理性的な行動や計画的な行動を邪魔する心理に影響されます
これを避けるためには投資判断を一切せず機械的に積み立てるという方法はある意味最強の方法といえます
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